シンポジウム5

11日 14:00-17:00 第1会場

胃癌発生と腸上皮化生

公募・一部指定

  司会 上村直実 国立国際医療研究センター国府台病院
    八尾隆史 順天堂大・人体病理病態学
胃癌発生と腸上皮化生との関連は古くから議論されてきた。近年H. pylori 感染による慢性胃炎から腸上皮化生を伴う萎縮性胃炎へ進展し胃癌が発生するという経路が想定され、直接癌化に寄与する前癌状態とする考えがある。一方で、腸上皮化生を伴わない粘膜からも癌は発生することがあり、腸上皮化生は癌に付随する傍癌状態とする考えもある。しかしながら、現在、胃癌発生における腸上皮化生の真の意義は解明されていない。胃癌発生における腸上皮化生の意義を解明するには、①腸上皮化生の存在は胃癌発症予測因子となりうるのか?②腸上皮化生は癌化と関連した遺伝子異常が生じているのか?③腸上皮化生はH. pylori 除菌により消失するのか?④萎縮性胃炎と腸上皮化生はパラレルか?⑤背景粘膜に腸上皮化生を全く伴わない胃癌の特徴は?などの疑問を解明する必要がある。本セッションで、胃炎・腸上皮化生の胃癌発生における意義を明らかにし、胃癌の予防法や効率的早期発見法、内視鏡治療後のフォローアップ指針や発癌研究の新展開への一助となることを期待する。