外P-191

進行膵癌における再発様式の検討

水本 雅己1
共著者:高折 恭一1,川口 義弥1,川口 道也1,小泉 将之1,岩永 康裕1,上本 伸二1
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京都大・肝胆膵・移植外科
【目的、対象、方法】I)術前補助療法の適応を念頭として、膵頭十二指腸切除術を施行した進行膵癌40例 (pStageIII 21例, pStage IVa 11例, pStage IVb 8例) を対象に、組織学的に予後規定因子を検討し、再発様式を局所、転移、播種に分類した。II) 術前画像診断で、PL-smaもしくはpPL-ceでN0もしくはN1のStageVIa膵頭部癌5例に対して、ゲムシタビン、S-1による術前化学療法を行った。【成績】I) 術後3年生存率は40%であり、StageIIIでは60%, Stage IVaでは52%, StageIVbでは 0% (MST8.5M)であった。pCH, pDU, pS, pRP, pPV, pRP, pPL, pN別に予後を検討したところ、pN+ (n=19)では3年生存率15.7%と、pN- (n=21)の73%と比較し有意に予後不良であった (p=0.001)。多変量解析においても、pN+は独立した予後不良因子であった (p=0.015)。pN+のうち再発症例 (n=16)の再発様式を検討したころ、pN1 (n=9)では3年生存率11%であり、局所再発を5例 (56%)、転移再発を3例 (33%)、腹膜播種を1例 (11%)に認めた。pN2 (n=4)では、3年生存率25%であり、転移再発、局所再発を各2例 (50%)に認めた。pN3 (n=3)では全例が転移再発した。pN-の21例を対象に局所進展因子を検討したところ、pCH+ (n=4)の3年生存率は25%とpCH- (n=17)の85%と比較して有意に予後不良であった(p=0.02)。また、pPL+ (n=6)の3年生存率は50%であり、pPL- (n=15)の90%と比較して予後不良の傾向を認めた (p=0.08)。pN-21症例のなかで再発症例は6例であり、局所再発、転移再発を各3例 (50%)に認めた。また、pCH+, pPL+症例のうち再発症例は各2例であり、転移再発、局所再発を各1例 (50%)に認めた。II) 術前化学療法群5例中4例に膵頭十二指腸切除術を施行し、1例に肝転移、1例に局所再発を認め、残り2例は経過観察中である。【結語】pN3症例においては術前化学療法を含めた化学療法の強化が必要と考えられた。pN0, pN1, pN2症例においては、局所再発を約50%に認め、術前放射線化学療法の検討の余地があると考えられた。