膵炎では早期から進展に抗うベクトルが働き修復機構が作動する。一端を担うのが相反現象として捉えられる再生と線維化である。再生にはかつては上部小腸からのCCKの役割等が報告され，近年は膵外分泌系progenitor cellの役割，脱分化現象が報告され再生の本態が浮彫りになりつつあるが，その誘導因子や伝達経路には未だ不明点が山積する。線維化では各種MMPなどの細胞外基質分解系が作動する一方で，stellate cell（PSC）が活性化しcollagen等の細胞外基質分泌により線維化を促進し，autocrine TGF-β1や細胞内Smad等がPSCを制御することが解明されてきたが，PSC活性化機序についての議論や線維化の可・非可逆性などの観点からの研究には未踏域がある。また，膵癌におけるprogenitor cell・PSCの関与についても現在の興味深いテーマである。本ワークショップではこれらの研究分野の最新知見の報告と活発な論議を期待する。