23日 14;:00-17:00 第8会場
公募・一部指定
シンポジウム 6
胃がんリスク評価の現状と問題点 |
司会 |
吉原正治 |
広島大保健管理センター |
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鎌田智有 |
川崎医大・消化管内科 |
胃がんリスクを評価することは胃がん対策において重要である.現在,胃がんリスクの中で最も明らかなH. pylori感染は低下してきており,さらに,2013年2月からH. pylori 感染胃炎に対する除菌治療が保険適応になり,リスク評価と検診・診療の組み合わせ方も,改めて検討する必要がある.胃がんリスク評価の中でもH. pylori抗体とペプシノゲン(PG)値の組み合わせによる,いわゆるABC分類は,胃がんの高危険群の絞込みだけでなく,胃がん低危険群を抽出できる特徴がある.そして,ABC分類では低危険群は概ねA群と判断され,その比率は年々増加しているが,A群のなかにH. pylori 既感染者や感染持続者が混入することが問題であり,その要因として除菌後症例,H. pylori 自然消退,抗体偽陰性などが指摘されている.今後,診療・検診の場とも,除菌後の例が一層増加し,これらの要因はさらに多くなることが予想される.また,リスク評価は胃がん診断の形態学的検査との組み合わせ方が肝要である.本シンポジウムでは胃がんリスク評価,ABC分類の現状とこれまでの問題点に対する適切な対応,他のリスク評価法の組み合わせについても検討することにより,H. pylori 除菌時代における今後の胃がんリスク分類の意義とその正しい運用法を討論したい.