統合プログラム 1
転移性肝癌の治療選択 |
司会 |
椎名秀一朗 |
順天堂大・消化器画像診断・治療研究室 |
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馬場秀夫 |
熊本大大学院・消化器外科学 |
転移性肝癌では,肝内病変の大きさや数,存在部位だけでなく,原発巣の生物学的悪性度や肝外病変の有無を考慮して治療を選択する必要がある.さらに患者の高齢化に伴う並存疾患や,繰り返す再発など複雑な臨床経過も問題となる.大腸癌の肝転移等では,最近の化学療法の進歩により切除不能例が切除可能となるなど,手術のタイミングを含めその治療戦略が変わってきている.肝切除により根治できる症例もあるが,肝切除後の再発率は依然として高い.治療の適応や時期も検討が必要である.低侵襲で化学療法の休止期間をほとんど要しないラジオ波焼灼療法も治療戦略の一つとして行われている.転移性肝癌の治療はまさに複雑多岐にわたるが,各々の治療法についてその長所短所を整理し,各施設におけるエビデンスを取り入れた転移性肝癌の治療方針やその成績,治療法選択にバイオマーカーを取り入れた新たな取り組みなど集学的な治療戦略を示していただきたい.