ワークショップ 8
生活習慣と肝病態の変遷:明日の肝臓病学に向けて |
司会 |
橋本悦子 |
東京女子医大・消化器内科 |
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竹井謙之 |
三重大大学院・消化器内科学 |
飽食の時代を迎えた我が国では,運動不足も加わって成人の20~30%が肥満となり,肥満や生活習慣病の対策が急務となった.生活習慣を基盤に発症するNAFLDやアルコール性脂肪肝は,成人の40~50%が罹患している.脂肪肝は10~20%が肝硬変や肝細胞癌に進行する病態であるのみでなく,他の肝疾患に合併し病態を悪化させる.そして,インスリン抵抗性を基盤とするNAFLDは,インスリン抵抗性をさらに増悪させ悪循環をきたし心血管イベントのリスク因子となり,全身疾患として捉えることが必要である.また,女性の社会進出が進み,社会通念の変化と相まって女性の飲酒者が増え,20歳代の飲酒率は女性が男性を超え,今後アルコール性肝疾患が大きな問題になると予測される.本ワークショップでは生活習慣と肝病態の変遷について,ウイルス性肝疾患,アルコール性肝疾患,NASHなどの症例数や診療実態の変遷を明らかにし,研究成果に基づき明日の肝臓病診療のあり方,研究の方向性などについてのビジョンを討論したい.