メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
11月5日(土) 14:00–17:00 第10会場(ポートピアホテル本館 和楽)
MS2-2
炎症性腸疾患チームの中で看護師に求められるもの
松末 美樹
- 高砂西部病院・看護部
炎症性腸疾患(以下IBDと略す)患者の抱える問題として,比較的若年で発症し,外見上には変化が見られないために周囲の理解を得られにくいといった問題がある.さらに,長期に渡る先の見えない治療においては大きくわけて二通りの不安「病気についての不安」「生活についての不安」を抱えている.そして,これらの問題は,IBD患者にとって大きな問題として重くのしかかっていると言えよう.これに対し医療者側の持つ問題として,医師は外来,病棟,内視鏡,手術など忙しく,十分な時間をIBD患者に割くことは難しい状態にある.看護師は定期的な配置転換があり,自由に自分の得意分野を極めることができないという問題がある.その他の職種においても医師と同様の問題があるだろう.こういったIBD患者をとりまく現状を考えると,「チーム医療」が必須であることがわかる.IBDチームの目的としては,患者の寛解維持・健康維持のため,医療者・患者・家族・患者仲間がお互いに認め合い,お互いに助け合いながら治療に向き合うことにある.では,その中で看護師に求められるものは何か,看護師の持つ職業上の特徴から考えていくと,看護師は患者の近くで患者とコミュニケーションをとりその病状を観察し,要約,医師およびチームメンバーに情報を発信するとともに,医師とその他のメディカルスタッフ,患者,家族との間を取り持つ潤滑油のような役割を果たしている.チームの中で看護師が口を閉ざしてしまうと患者の情報がそこでストップしてしまい,チーム活動が止まってしまうと言っても過言ではないだろう.IBDチームの中でさらにその活動を充実させていくためには,看護師がIBD患者に興味を持ち長くIBD患者に関わることができるシステム作りも急務となっている.そこで私たちは現在,関西地区において「関西IBDサポートセミナー」というメディカルスタッフのための勉強会を作り活動している.今回は,ここでの活動を基に看護師に求められることをさらに明確化し,報告したい.