メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
11月5日(土) 9:00–12:00 第10会場(ポートピアホテル本館 和楽)
MS1-3

地域緩和ケアにおける薬剤師の役割

轡 基治
うえまつ調剤薬局
超高齢化や地域医療・介護の状況と将来に鑑み,各自治体で地域包括ケアシステムの整備が進められており,緩和ケアもここに包含される.保健・福祉・介護・医療・産業等が一体となり地域に暮らす人々のケアを構築していくが,この中で保険薬局は訪問薬剤管理指導(居宅療養管理指導)や他の医療提供施設,業種等と連携を図っていくものとされており,地域における社会資源のひとつとして位置付けられている.
【緩和ケアにおける保険薬局と薬剤師の業務内容】
保険薬局として:
 医薬品の調剤と供給(医療用麻薬・注射薬等を含む)
 療養に必要な医療材料・衛生材料の最適化と供給
 他職種や施設等との連携と相互理解への取り組み
 緩和ケアについての地域での情報発信と啓発
薬剤師として:
 薬学と技能を基礎とした患者個別の薬物治療支援
 薬物治療によるQOL低下を防止し改善するための観察と評価
 患者・家族のQOL向上のための他職種・施設等との協働 等
在宅ケアの場面では患者支援を行う医療従事者や介護職を中心としたチームとしての形を成すことが多い.患者の療養生活を構成する要素は無数に存在するが,医療や介護はその生活を構成する要素の一部分に過ぎず,単一の職種によるアプローチのみでは支援すべき全体像を把握することは困難である.各職種が患者宅で得た情報を持ち寄り評価し,問題点と支援策を導きだす.通院治療や在宅医療の場では医療従事者が患者に接する時間が短く,薬物治療を受けている患者の様子には医療従事者の目がほとんど届かない状況にあり,症状の変化も併せて患者や家族が抱える不安要素のひとつになりやすい.従って薬剤師の訪問においても処方薬の持参と服薬指導だけではなく,薬効評価と副作用モニタリング,処方構築の視点を含めた症状観察が必要となる.終末期がん患者の在宅療養支援の経験を基に,薬学的思考をどのように安全性の担保や処方支援,他職種との協働に結び付けていくか概説する.
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