メディカルスタッフプログラム1(JDDW) |
10月14日 (土) 9:00 - 12:00 第7会場:福岡国際会議場 409+410 |
薬剤師は周術期管理において栄養面で何をすべきか?-現状と期待される未来像- | |||
東 敬一朗1, 道輪 良男2, 笹山 潔1 | |||
1浅ノ川総合病院・薬剤部, 2浅ノ川総合病院・外科 | |||
周術期は栄養障害のリスク要因が多く存在している時期といえ,手術そのものによる消耗や手術侵襲に伴う代謝亢進,術後合併症,消化器系疾患の場合にしばしばみられる術前の栄養障害などはその代表である.これらを回避,改善することは円滑な周術期管理のために必須であり,栄養サポートチーム(Nutrition support team;NST)による質の高い栄養管理が求められる. NSTの構成職種でもある薬剤師は,周術期の薬剤管理において概ねその専門性を発揮できていると思われるが,栄養管理という面では必ずしもそうではない.術前の栄養障害は,術後の合併症の増加や予後の悪化につながるといわれている.そのようなリスクのある患者に対する術前栄養管理の基本は経口摂取あるいは経腸栄養であるが,特に高齢者の場合それだけで十分な栄養摂取量を確保できないことも多い.そういった場合,補完的中心静脈栄養(Supplemental parenteral nutrition;SPN)も選択肢に入るべきだと思うが,現状では薬剤師はそこまで関われていない.術後は早期経口摂取再開が原則だが,経口摂取が進まなかった場合や消化器系疾患の術後で縫合不全が認められた場合などには,高カロリー輸液(Total parenteral nutrition;TPN)による積極的な栄養管理が必要となる.その際に,個々の状態を勘案することなく一律的な輸液組成のTPNが実施されていることもある.本来は個々の症例に適したTPNを実践しなければならないが,薬剤師はそこでも十分に関われていないといわざるを得ない. 静脈栄養に用いる輸液製剤はすべて医薬品に分類されるため,静脈栄養に関しては我々薬剤師が専門性を十分に発揮できなければいけない.また,周術期には分子生物学的あるいは生化学的な変化も起こっているが,薬剤師はこの点についても知識を有しているため,それらを考慮した栄養管理を実践できるはずである.従来の役割に加え,栄養管理でも専門性を十分に発揮することが,周術期管理において薬剤師に求められる未来像ではないだろうか. |
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索引用語 1:薬剤師 索引用語 2:静脈栄養 |
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