JDDW 2017 Close
メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月14日 (土)  14:00 - 17:00   第7会場:福岡国際会議場 409+410
MS2-2
食道癌狭窄症例に対する段階的チューブ拡張後経皮的内視鏡的胃瘻造設術の有用性
上里 昌也1, 首藤 潔彦2, 松原 久裕1
1千葉大・先端応用外科, 2帝京大ちば総合医療センター・外科
【はじめに】進行食道癌患者における食道狭窄は,嚥下困難から容易に栄養障害をもたらす.栄養障害に対する経鼻経管栄養法は医師側からみれば簡便かつ安全な方法である.一方患者側は鼻や咽頭の違和感に悩まされ,また療養施設の受け入れでハードルが高まる.食道癌ガイドライン(2012年4月版)で「細径内視鏡も通過困難な高度狭窄例などにより経皮的内視鏡的胃瘻造設術(PEG: Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)が困難な症例においては,開腹下に胃瘻や空腸瘻が行われる」とある.今回,細径内視鏡の通過不可能な症例に対し段階的チューブ拡張(GTD: Gradual Tube Dilation)後にPEGを行った.GTD後PEGの有用性と安全性について,従来のPEGと比較検討する.【方法】2012年3月から2014年5月までに当科で食道癌による栄養管理目的にPEGを施行した38例を対象とした.通常のPEG(GTDなし群)は細径内視鏡を経鼻的に挿入し,カンガルーセルジンガーPEGキット(COVIDIEN)を用いて施行した.GTDは,EDチューブ(8Fr,10Fr,12Fr)やSalem Sumpチューブ(16Fr,18Fr)を透視下に経鼻的に留置し,まず食道癌狭窄部の段階的拡張を行った.その後PEGを施行した(GTDあり群).GTD中は経管栄養を開始する.GTDなし群とGTDあり群における準備期間,手術時間や合併症などについて比較検討する.【結果】GTDなし群は21例であった.GTDあり群は17例で,平均前拡張期間9.8日を要し,拡張段階は平均2.5段階であった.PEG施行時間は,GTDなし群/ あり群:15.1分/17.2分(P=0.360)であり,全例造設可能であった.合併症としてGTDあり群の3例に咽頭痛を認めた.【まとめ】今まで食道癌狭窄で細径内視鏡の通過不可能な患者においてPEGは断念せざるを得なかった.今回そのPEG不可能症例が,術前に約10日間を要したもののGTDにて安全にPEGを受けられることがわかった.食道癌患者がPEG施行後に患者自身で栄養管理を行うことは,在宅医療への移行に貢献すると思われた.
索引用語 1:胃瘻
索引用語 2:食道癌
ページの先頭