JDDW 2017 Close
メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月14日 (土)  14:00 - 17:00   第7会場:福岡国際会議場 409+410
MS2-5指
在宅医療における胃瘻―生活者として支援する
小川 滋彦
小川医院
 在宅医療の目的は,安上がりな死に場所を提供することでも,行き場を失った長期入院患者の受け皿でもない.生活の場で行われる,文字通り患者中心,患者主体の医療であり,その理念は社会復帰である.どんな重い障害を持っていても,元気になることが目的であり,それゆえ食事が最も大切である.口から食べることは素晴らしいが,何もそれにこだわらなくて良い.ちょっとだけ食べながら,食事の延長で栄養を補完するのに,胃瘻はもっとも身近な友人であったはずだ.無菌操作が必要なく,半固形化や分割投与など,患者が望むどんなスタイルであれ,大きな失敗はないという点で胃瘻は在宅医療と極めて親和性が高い.むしろ,患者自身の工夫から医療者側が教えられることも少なくなかった.患者から学ぶ.そして,患者を元気にする.この理念のもと,多職種連携は「口から食べることを支援する」を目標に構築すると,やりやすい.口腔ケアや食べる姿勢など歯科関係やリハビリテーション職種が力を発揮する局面が少なくないからだ.生活者として過ごすことを肯定する場でこそ,多職種の関わりが輝き,お互いの尊敬と患者からの感謝の念が生まれる.そのような関わりの中で,胃瘻がさりげなく体力恢復に貢献する,そんな在宅医療を提案してみたい.
そのために,1)1996年から関わった在宅胃瘻患者の概要,2)2004年より開始した管理栄養士による訪問栄養食事指導と2014年に立ち上げた栄養ケアセンターの活動,3)2004年からの金沢・在宅NST研究会の流れを汲む金沢在宅NST経口摂取相談会(月1回,119回開催)における多職種連携の実際,4)在宅医療に対する考えを改めるに至った印象に残る症例,を紹介する.
索引用語 1:胃瘻
索引用語 2:在宅医療
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