“老人の友”と呼ばれる肺炎を直接引き起こす摂食嚥下障害は外部からの観察が難しく,検査環境が整っているとは言いがたいのが現状である.従来,摂食嚥下障害が低下した患者が入院中に十分な嚥下のリハビリを行うことができずに施設や在宅に退院すると,実際には食べる機能が残存していたとしても禁食のままになるようなことが多かった.特に今後の日本においては訪問診療が必要とされる場面,地域が増加することは想像にたやすいが,そういった場面で食べることを真剣に評価してリハビリの場面に乗せることが重要である.我々の過去の調査によると,食べる機能があるのにもかかわらず経管栄養のままでいる患者や,食べる機能が低下しているのにもかかわらず普通の食事を摂取している患者が多かったため,施設や在宅など生活の場面における嚥下機能評価は重要である.近年では,特に在宅において嚥下内視鏡検査を行うことが可能な医療機関が増加しており,通院が困難な要介護高齢者に対する嚥下機能評価が行いやすくなっている. 今回は過去に行った胃瘻に関連する調査の内容も含め,昨年度終了した研究班にて行った摂食嚥下関連医療資源マップ(http://www.swallowing.link/)の結果なども紹介しつつ経口摂取を支えるためにできることを考えてみたい. |