【はじめに】PEGは現在倫理的適応や社会の拒否反応により減少しているが,経腸栄養に頼らざるを得ない患者は少なくない.PEG造設・交換時合併症回避のためにNSTと連携し,PEGにかかわるすべての医療従事者(医師,看護師,薬剤師,栄養士,セラピスト,医事課,在宅ケアスタッフ,リハビリスタッフ)への教育として認定内視鏡技師主催の勉強会を定期的に実施しており,その内容を報告する.【内容】合併症予防のため2010年からDirect法に変更,2013年から経鼻内視鏡下に変更した.現在造設時全例胃壁固定下でバンパー・ボタン型イディアルボタンを使用している.各種胃瘻キットの利点欠点を学習し,専門業者による経管栄養使用時のケアの指導を行っている.当院では2010年から2017年までのPEG総数193例中23例(11.9%)がPEG不可であった.事前に胃切,瀑状胃,肺炎,キライディティ症候群などの有無,全身状態のチェックを行いPEGの適応を検討した.PEG不可の原因で最も多かったのは適切な挿入部位がない(15例)であった.開腹胃瘻移行は6例(3.1%)であった.安全に施行するためにミダゾラムによるセデーション下で施行するが,2例に呼吸不全で断念,1例に腹圧が生じ大網を巻き込んだため緊急手術を要した.PEG適応外症例でPEG施行できたのは4例(キライディティ症候群1例,残胃2例,胃潰瘍1例)であった.緊急時に備え,麻酔科が勤務する曜日に内視鏡専門医兼消化器外科専門医がPEGを担当し,病棟看護師は一般状態など患者の状態観察を,内視鏡看護師は1人はファイバー持ちや医師の介助,1人はPEGキット出しの直接介助を担当している.PEG交換では内視鏡を使用せずX線透視下で交換し,ガストログラフィンで胃内であることを確認している.PEG後,NSTが介入し嚥下訓練を可能な限り行っている.【まとめ】PEG関連医療従事者へ認定内視鏡技師主催でチーム医療としての勉強会を実施することで,PEGに関する知識や危機管理の共有ができ,合併症回避のみならず適応含めて安全な医療サービスの提供が可能となったと考えられた. |