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メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
11月3日(土) 14:00~17:00 第11会場:ポートピアホテル南館 トパーズ
MS2-4
医療スタッフの介入による慢性肝疾患のかゆみ診療
鈴木 満由美1, 坂本 かず美2, 池上 正3
1東京医大茨城医療センター・肝疾患相談支援センター, 2東京医大茨城医療センター・看護部, 3東京医大茨城医療センター・消化器内科
【背景】慢性肝疾患患者に多く見られるかゆみは,不眠やうつ,掻爬に起因する皮膚感染などにつながり,生活の質の低下のみならず生命予後を左右する可能性がある.しかし患者,あるいは医師のかゆみに対する認識の低さのため過小評価されている傾向がある.【方法】メディカルスタッフによる患者教育・指導の意義について検討する目的で,当院外来に通院中の慢性肝疾患患者(慢性肝炎,肝硬変)に対して痒みの有無,VASにもとづいたかゆみの強さ,かゆみの部位,症状出現時期などについてアンケート調査を行った.この際に,作成したハンドアウトを用いて慢性肝疾患の痒みについてスタッフが口頭で情報提供を行った上でアンケート用紙に記入してもらう群(A群, n=72)と,アンケート用紙のみを手渡して回答してもらう群(B群,n=124)に分けて調査を行った.アンケート回答者は痒みに対する処方歴や皮膚疾患のない18歳以上の慢性肝疾患患者196名をランダムに割付けた.【結果】アンケート用紙を配布した患者全てから回答が得られた.かゆみがあると回答したものは全体の37.2%(73例)であり,A群では33.3%(n=24),B群では39.5%(n=49)だが両群で有意差は見られなかった.かゆみの程度についても,VAS値の平均でA群4.43,B群4.47と有意差はなかった.肝疾患の病態別では慢性肝炎(34.0%, n=54)に比べ肝硬変群(51.3%, n=19)で有意にかゆみを訴える患者の割合が高かった(P < 0.05).A群でかゆみ(+)とした患者のうち医療者に対して相談したことがあると答えたものは43.4%であり,また60%の患者がかゆみに対して市販品の使用など何らかのセルフケアをしていると答えたのに対し,B群では相談したことのあるもの(23.9%),セルフケアを行っていたもの(46%)とも有意に少ない傾向があった.【結語】医療スタッフの介入による慢性肝疾患のかゆみについての情報提供は医療者への相談やセルフケアをリマインドし,患者の療養行動を変化させQOL改善を促進する可能性がある.
索引用語 1:慢性肝疾患
索引用語 2:かゆみ
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