【目的】当院の内視鏡室は,医師・看護師・看護助手で構成されている.しかし,院内看護師の不足,また内視鏡室で使用する医療機器の多種多様化,それに伴う業務の複雑化により看護師の負担が多くなっているのが実状であった.また手術室など他部門と共有する機器も存在し,院内で横断的な機器管理を行う必要性が生じた.そこで,医療機器の扱いを専門にしている臨床工学技士(以下ME)が2017年9月より内視鏡業務に新規参入することとなった.今回は,内視鏡室におけるMEの業務内容,活動を報告する.【方法】日本臨床工学技士会内視鏡業務指針を参考に看護師と看護助手が行ってきた以下の業務を主にMEが行う.(1)始業前の準備(スコープ点検・取り付け等)(2)検査中の処置具を用いた介助・機器のトラブル対応(3)検査終了時のスコープ回収・洗浄(4)スコープの終業時点検.また,MEの専門性を活かした新たな取り組みとして,使用機器の点検方法を見直し,スコープ・高周波発生装置・ベッドサイドモニタの点検表を作成.内視鏡洗浄機の水フィルター交換は使用期限を超過しないようにチェック表を作成し管理.購入を検討する機器に関しては医師と相談し,機器管理の観点から選定に関わる.【成績】MEの内視鏡室への参入により,看護師は機器管理業務の負担が軽減され,患者のケアにより専念できるようになった.特に,異物誤飲や急性消化管出血・ERCP等の治療時には,看護師は治療中のバイタルサインの確認・記録・薬剤の準備,MEは使用機器の治療前準備・処置具の入れ替えなどの介助を中心に業務分担することで医師が治療を円滑に進めることが可能となり,安全性の向上に繋がった.今後は,医師や看護師と情報を共有するためにも解剖・病態・内視鏡所見を理解する必要があると考えられる.【結論】MEの工学的知識を内視鏡検査・治療に活かし,使用機器の管理体制をMEの元に一元化することで機器の安定した運用,ひいては安全で質の高い医療の提供に繋がると考えられた |