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在宅の現場で安全で質の高い消化器診療を提供するために必要なこと |
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福本 和彦1, 深澤 貴子2, 鈴木 昌八2 |
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1磐田在宅医療クリニック, 2磐田市立総合病院・消化器外科 |
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【目的】演者は18年間,消化器外科医として臨床に携わった後に在宅療養支援診療所を開設し3年間が経過した.7名の非常勤医師の力を借りながら509例の在宅療養中の患者に訪問診療を提供し一人医師体制で24時間365日対応を実施してきた.転帰が明らかな402例中302例(75%)の在宅看取りに立ち合い,自宅で質の高い医療を安全に提供するにはどうすればよいかを日々模索している.本研究では経験症例のうち原疾患が消化器病である症例と消化器系処置を要した症例を集計し多職種連携の在り方を検討した.【方法】電子カルテおよびデータベースより原疾患が消化器病である158例と経過中に消化器系処置を要した13例の臨床病理学的因子を抽出し集計した.実施した治療・処置としてTPN管理,在宅での輸血療法,減圧目的のPEG管理,在宅で留置する末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC),腹水ドレナージ(CARTも含む),各種ドレナージチューブ管理を挙げて連携した職種について検討した.【成績】消化器関連症例171例.年齢=40-95(平均75)歳,男女比=88:83.原疾患が消化器病症例のうち悪性腫瘍は147例,良性疾患は11例.消化器系処置を実施した13例の原疾患は婦人科癌9例,乳癌4例であり,腹水穿刺7例,難治性腸瘻でパウチ化3例,減圧目的PEG2例,経鼻胃管留置1例であった.対象171症例に対しTPN管理49例,在宅輸血9例,減圧目的PEG 4例,ストマ・難治性腸瘻管理12例,在宅PICC 5例,腹水ドレナージ25例(うち在宅CART 7例),各種ドレナージチューブ管理8例.関連する多職種は在宅では訪問看護師,薬剤師,理学療法士,診療放射線技師,管理栄養士,往診アシスタント,ケアマネジャー等,急性期病院では消化器内科医,外科医,臨床工学技士,看護師,MSW等が挙げられた.【結論】在宅の場で質の高い消化器診療を実践するためには消化器系医師単独では実現不可能で,多職種との情報共有と連携が不可欠である. |
索引用語 1:在宅医療
索引用語 2:多職種連携 |
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