メディカルスタッフプログラム1(JDDW) |
11月23日(土) 9:00~12:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室 |
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OOVLを用いた高齢摂食嚥下障害者と家族の「栄養方法の選択」の意思決定支援 | ||
内橋 恵 | |||
甲南女子大・老年看護学 | |||
わが国の超高齢化を背景に人々の医療やケアへの意識の変化が起こっている.厚生労働省は,平成30年に【人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン】の改訂を行い,より明確に本人の意思を尊重すると示した. OOVLは,問題の認識・特定,判断基準の特定,成果の重みづけ,選択肢の列挙,実現可能性,選択肢の決定の6段階から本人や家族,医療者の意思決定を支援するために開発されたツールであり,問題を整理し検討する過程において思考がまとまっていく. サービス付き高齢者向け住宅にいた80代の女性A氏は,半年前から食事摂取量低下し体重減少を起こしていた.さらに,3か月前ラクナ梗塞を発症し徐々に廃用が進行した結果,嚥下も低下し誤嚥性肺炎を発症した.転院先の急性期病院において,経口か胃ろうか等【食べる】選択の問題を抱える本人と家族に対し,医師は誤嚥性肺炎のリスクを考え中心静脈栄養法を施行し転院する案,セラピストは胃ろうのみの栄養補給で施設に戻る案,看護師は胃ろうを造設し経口摂取訓練も行う案の3つに分かれた.これらを基に,成果の重みづけと実現可能性を【見える化】した.次に本人と家族に意思決定を支援した結果,胃ろうを造設し経口摂取訓練も行う案を選択し施設に戻った. 医療側は摂食嚥下機能が低下すると誤嚥性肺炎のリスクが高まるため,静脈栄養や胃ろう,経管栄養を進めることが多い.一方,本人や家族は胃ろうを造設すると口から食べられなくなるかもしれないと拒否する場合もある. フライは看護実践における倫理的概念の1つにアカウンタビリティ(説明責任)を挙げている.本事例は,リスクとベネフィットの双方向の視点も含めて,多職種で今後のA氏の栄養をどう考えるかチームの意見をまとめた.また,OOVLのツールを提示しながら家族と共に思考の整理を図ったことも胃ろう造設の要因になったと推察する. 以上より,多職種の視点を収束するために共通のツールを用いることは意思決定の支援に有効な一助となると考える. |
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索引用語 1:意思決定支援 索引用語 2:多職種連携 |
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