メディカルスタッフプログラム1(JDDW) |
11月23日(土) 9:00~12:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室 |
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医療経営士の視点を持つ病院薬剤師が捉えた在宅医療問題点改善への糸口 | ||
中村 久美 | |||
相澤病院・医薬品情報管理室 | |||
【はじめに】 薬剤師であり医療経営士でもある私の視点では,在宅医療における最大の問題点は『家庭内残薬』と捉えている.しかし,急性期医療を担う病院勤務薬剤師の私自身は,実際の在宅医療に直接関われてはいない.在宅医療の問題点に対し,病院薬剤師と保険薬局薬剤師で協働する薬薬連携を通じて,まずは出来ることから取り組んだ. 【方法】 <1>現状把握:保険薬局薬剤師に対し,残薬に関するアンケート調査と,実際に保険薬局薬剤師が在宅訪問して見た家庭内残薬の現状を個別に聞き取りした<2>協働:保険薬局薬剤師との連携を深めるため,研修会から一歩進め協働して服薬指導ツールを作成し,地域の病院と保険薬局で活用できるように薬剤師会のホームページを利用したシステムを構築した<3>他職種の集い:地域の薬剤師会と病院側(医師・薬剤師・事務職)での合同会合を通じて顔の見える関係づくりを実施した 【結果】 <1>残薬確認に苦労しているかの設問に対し4割以上の保険薬局薬剤師が苦労していた.背景には医師が処方したものが余っているとは言えないという患者の姿があった.医師への遠慮というこの問題については2016年度診療報酬改定で新たに導入された「70枚まで」という湿布薬の処方制限効果を確認することが重要である.この質問回答より,65%の保険薬局薬剤師が政策効果を実感していた.聞き取り調査からは,家庭での薬剤管理のなかで家族の関係のこじれや独居問題など住人という視点がひとつのポイントとわかった.<2>薬薬連携協働作業にて作ったツールは服薬指導に活かせただけでなく,薬薬連携強化に繋がった.<3>病院内の医師,事務職員に協議会を通じて保険薬局薬剤師の状況を知ってもらうことができた. 【考察】 既報では家庭における残薬を解消すれば,年間8000億円程度の医療費を削減できる可能性があるとされる.医療とコストは切っても切れない関係である.まずきちんと現状把握し,処方箋を発行する医療機関側と保険薬局の連携を様々な形で深めていくことで家庭内残薬問題への糸口が見えてくる. |
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索引用語 1:薬剤師 索引用語 2:在宅医療 |
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