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メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
11月23日(土) 14:00~17:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室
MS2-基調講演
病院ぐるみの就労支援:職種別の専門性と職種横断的な連携の両面から
高橋 都
国立がん研究センターがん対策情報センター・がんサバイバーシップ支援部
就労世代のがん患者は全体の約1/3に過ぎないが,定年年齢の引き上げや再雇用義務化の流れから,がん好発年齢である高齢就労者の一層の増加が見込まれている.第二期がん対策推進基本計画(2012~2016年度)に「働く世代や小児へのがん対策の充実」が盛り込まれて以来,がん患者の治療と仕事の両立支援に向けた政策は大きく展開した.企業では,厚労省による事業場向け両立支援ガイドラインの発出,改正がん対策基本法でがん患者の継続雇用が事業主の努力義務として明記されたこと,さらに健康経営銘柄の認定要件に両立支援が含まれていること等から,がんに罹患した社員への対応が重要な経営課題として認識され始めている.一方医療機関においては,社会保険労務士等の就労専門家やハローワークとの連携も進んでいるが,安全で適切な治療を提供することが最優先される環境の中で,就労支援のあり方に関する試行錯誤が続いているようにみえる.がん診療連携拠点病院では相談支援センターの役割が強調されているが,少ないマンパワーでは対応の限界もある.国内の外来がん患者を対象とした調査(Takahashi, 2017)では,医療者(多くは医師・看護師)から仕事関連の悩みを質問されたことがある患者は24%に留まり,薬剤師,OT/PT,栄養士,心理専門職,ソーシャルワーカーの関与は少なかった.しかし,各職種がその専門技量を活かして患者本人の心身のコンディションを整えることは,それ自体が重要な就労支援なのである.本発表では,「がんと就労」に関連する国内の政策の歩みを振り返るとともに,専門性を活かした職種別のアクションと職種横断的な連携の両面から,多忙な日常業務の中で無理なく取り組める病院ぐるみの就労支援のあり方を提案したい.院内で活用できる各種リソースも紹介する.
索引用語 1:就労
索引用語 2:多職種
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