メディカルスタッフプログラム1(JDDW) |
11月6日(金) 9:00 - 12:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室 |
医療安全施策の動向について~医療事故調査制度4年の実績など~ | |||
渡邉 顕一郎 | |||
国立病院機構本部・医療部 | |||
より良い医療の提供と安全の確保は医療従事者が常に意識していることであると同時に国民の願いである.各医療機関では安全で質の高い医療の提供のため,不断の努力が続けられているが,患者・家族の理解や協力も欠かせない.わが国の医療安全施策に関しては,平成14年に公表された「医療安全推進総合対策」を礎として,医療安全管理体制が整備されてきた.言うまでもなく,医療安全施策の基本的な考え方は,個人の責任を追及し非難するのではなく,安全を確保できる方向にシステムを設計し直し,将来のエラーを減らすように専心することである. 臨床現場での具体的な医療安全体制の構築については,医療安全管理者に負うところが大きいが,管理者がその責任のもとで,組織全体として医療安全文化の醸成に向けてリーダーシップを発揮することも肝要である.平成27年10月に施行された医療事故調査制度においては,報告対象の判断が管理者に委ねられ,平成28年6月の特定機能病院の承認要件の見直しにおいても,病院長のガバナンスが議論の中心となった.今後も医療の安全を確保するため,医療界と歩調を合わせ,行政の立場で取り組むべきことを着実に進めていきたいと考えている. さて,本メディカルスタッフプログラムでは,施行後5年を迎えようとする医療事故調査制度の趣旨や実績を中心に医療安全施策に関する話題を提供したい.医療事故調査制度の目的は医療機関の自律に基づき医療の安全を確保し,医療事故の再発防止を図ることである.対象となる医療事故は,医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し,又は起因すると疑われる死亡又は死産であって,当該医療機関の管理者がその死亡又は死産を予期しなかったものと定義されている.関係者の皆様方のおかげで,医療事故調査制度は着実に運用されている一方,医療事故という名称に抵抗がある,報告事案の判断が難しい,報告書が訴訟資料になっているといった課題も指摘されているところである.本プログラムが,医療安全施策の最近の動向について理解を深めていただくとともに,今後の医療安全施策の方向性についてご意見を頂戴できる機会となれば幸いである. |
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索引用語 1:医療安全 索引用語 2:医療事故調査制度 |
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