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メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
11月6日(金)  9:00 - 12:00   第13会場:神戸国際会議場 国際会議室
MS1-2指
医療事故調査制度と医師法21条
大磯 義一郎
浜松医大・総合人間科学講座法学
医療安全元年と国際的にいわれている1999年以降,我が国における医療事故対応は,独自の方向を歩んでいる.その最大の要因は,過剰な刑事司法の介入である.そして,刑事司法介入の誘因となっているのが,医師法21条である.都立広尾病院事件以降,医師法21条に対する誤解と強い萎縮効果が広まり,ピーク時には医療機関から年間約200件もの届出がなされた.しかし,同事件に対する最高裁判決への理解が広まったこと,福島大野病院事件を契機に過度な刑事司法介入に対する反省の機運が生まれたこと等から,徐々に報告件数は減少していき,現在では,1999年以前に近い件数となっている.医師法21条に関する騒動は,ひと段落ついたかに思われたが,平成31年2月8日,厚生労働省より「医師による異状死体の届出の徹底について」とする通知が発出され,同通知を反映させる形で平成31年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルが作成された.ところが,1か月もしないうちに,「平成31年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルの追補について」とする文書が発出され,2月8日通知が記載された箇所が削除される等,混乱が生じた.もう一つ,我が国の医療事故対応を独自の方向としているのが,医療事故調査制度である.本制度成立前から現在に至るまで,一貫して,一部の弁護士等が本制度を紛争解決の手段として用いようと活動しているため,我が国の医療安全が十分に進まないことは,大きな問題である.そのような中,全国医学部長病院長会議患者安全推進委員会より,本年5月7日に「医療事故調査制度の現状と課題」が示された.同文書では,医療事故調査制度の課題として,以下の三つが指摘された.課題1 「医療事故」,「医療事故調査制度」という呼称が,患者家族等に誤解を生じさせている.課題2 事故調査報告書が訴訟等,法的責任追及の際に用いられている.課題3 年間報告件数に対し,誤った報道が繰り返し行われている.本講演では,医師法21条を取り巻く現状の整理,及び,医療事故調査制度の課題につき解説したい.
索引用語 1:医療安全
索引用語 2:医療事故調査制度
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