メディカルスタッフプログラム1(JDDW) |
11月6日(金) 9:00 - 12:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室 |
専門職連携教育の未来:専門職的自律性と多職種連携 | |||
山本 武志 | |||
札幌医大・保健医療学部医療人育成センター | |||
医療専門職の協働実践(Collaborative Practice・Interprofessional Collaboration)は,「健康問題・社会問題における共同的意思決定のための参加型協働/調整におけるクライエントを含むチームのパートナーシップ(The Canadian Interprofessional Health Collaborative)」と定義されている.協調実践には「責任」,「説明責任」,「調整」,「コミュニケーション」,「共同」,「アサーティブネス」,「自律性」,「相互信頼」,「尊重」といった要素が含まれる.また,チームの有効性を決定する重要な特徴として「チームにおける個々の役割がチームにとって重要であると考えるメンバー」,「オープンなコミュニケーション」,「自律性の存在」,「平等な資源」が挙げられている. 臨床における専門職間の相互作用は1960年代から指摘されている「医師-看護師ゲーム」にみられるように,医師と他職種の間で直接的に意見を述べたり相互にアドバイスをする関係性が醸成されているとはいえない.このことは,チームの有効性を左右する「オープンなコミュニケーション」,「自律性の存在」を阻害しているといえる. 近年の医療環境の変化として(1)在院日数の短縮により,退院後の治療・療養に配慮した迅速な退院計画を要する,(2)医療知識・医療技術の高度化・専門分化(タコツボ化・サイロ化)による知識・技術の共有化の困難が挙げられる.病院内で特定職種の特定人物が1人の患者のケアに携わる時間は限られ,多くの専門職が参加する.また,退院後の生活やその後のQOLの変化に応じた退院計画が入院早期から検討され,福祉専門職や家族など多様な主体の関わりが必要とされる.すなわち,現代の医療環境では,チームそのものが固定的ではなく日々流動的な存在となり,必要な場面で必要な主体が集合,離散を繰り返し,随時,迅速な意思決定を重ねていく必要がある(ノット・ワーキング). 60年をかけてゲームのあり方は変質しつつあるが,医療環境の変化に応じた医療人材育成,コミュニケーション教育,倫理教育について議論したい. |
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索引用語 1:IPE 索引用語 2:コミュニケーション |
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