パネルディスカッション4(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会)
11月4日 14:00–17:00 第12会場(神戸国際会議場 メインホール)
消PD4-2

感染性の被包化膵壊死(WON)に対するEUS-TDの治療戦略

三輪田 哲郎1
共同演者:牛尾 純1, 山本 博徳1
1
自治医大附属病院・消化器内科
【背景】被包化膵壊死(walled-off-necrosis : WON)は難治性であり感染していればドレナージ治療の適応である.超音波内視鏡下経消化管ドレナージ(EUS guided transmural drainage : EUS-TD)では,従来はプラスチックステント(PS)を使用していたが,近年は大口径のlumen apposing metal stent(LAMS)が発売されており,当科でも2018年より採用している.【目的】EUS-TDでの,PSとLAMSの有用性を比較検討する.【方法】2009年9月から2020年12月までに感染性のWONに対してEUS-TDを行った23症例を対象とした.対象は,年齢は平均値60.9±14.4歳,性別はM : F 17 : 6であった.治療の内訳は16症例がPSを(P群),7症例がLAMSを使用していた(M群).両群におけるa) 手技成功率・偶発症,b) 治療経過・予後,c) 入院期間を比較検討した.【結果】両群の患者背景(年齢,性別,病変径: P群;15.7mm, M群;18.4mm)に差はなかった.a) 全症例で手技は成功した(100%).偶発症はM群で後出血を1例認めた.b) EUS-TDのみで軽快した患者は,P群で9例,M群で5例であり,そのうち内視鏡的ネクロセクトミー(EN)をP群3例,M群3例で行った.内視鏡的ネクロセクトミー(EN)の回数はP群で4.6回,M群で2.3回であった.軽快せずに手術に至った症例はP群で5例,M群で1例であった.死亡例は,P群で2例,M群で1例認めた.c) 入院期間はP群で78日,M群で60日であった.【考察】今回の検討で統計学的な有意差は認められなかったが,WONに対するEUS-TDにLAMSを使用することでPSを使用することと比較して入院期間の短縮,ENの回数を減少させ,手術を回避できる可能性が考えられた.
ページトップへ