メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
10月28日 9:00–12:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS1-9

新型コロナウイルス感染症と手術部運営

中居 卓也1
共同演者:谷 育枝1, 川村 純一郎1
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近畿大病院・中央手術部
【はじめに】当院は南大阪で唯一3次救急も受け入れる高度先進医療機関であり,新型コロナウイルス感染症(コロナ感染)が蔓延しても急性期医療を続ける使命がある.2020年4月からコロナ感染患者の受け入れを開始し,現在まで2度に渡る院内クラスターを経験したが当院の医療体制を手術部運営とともに紹介する.【コロナ感染対策】組織運営:2020年4月コロナ対策会議が始り,リーダーは呼吸器内科医が行い各部門代表と医事,コメディカルが参加した.コロナ感染病棟の配置,患者動線を検討し,患者受け入れ後は毎週月曜日に新たな問題を協議,決定事項を院内向けwebで掲示,周知させた.ゾーニング:患者の受け入れは重症,疑似患者を含め一般病棟と異なる別棟で扱った.面会は全面禁止としたが入院患者が隠れて親族と接触,感染例を認めたためデイルームなども閉鎖,ICは外来時か別棟に開設したICセンターで行った.コロナ感染の診断:当初PCR検査は限られ問診と胸部CTで診断していたが2021年からは診療状況に合わせて判定時間の異なる超緊急,緊急,定時別のPCR検査を導入した.濃厚接触者(医療従事者)には抗原定量検査を用いた.手術部運営と院内クラスター:術前PCR検査は優先的に導入し手術フローも用いて感染を除外し手術を実施した.2020年第1波は医療資源が制限され手術は延期され年間手術数は10748件(前年比-6.6%)と減少した.2021年英国株の第4波では内科病棟からクラスターが発生するも,ゾーニングを徹底し手術制限せず手術数は10531件と前年並であった.2022年はオミクロン株の第6波によって外科系病棟でクラスターが発生した上に,手術参加した医師,看護師からも感染が見られた.医療者の濃厚接触者が相次いだが,手術継続のため連日抗原検査を行い就労した.濃厚接触者の感染状況を再確認したところ,手術室内において感染伝播リスクの低いことが証明された.【まとめ】コロナ感染には新株による感染拡大の波が認められ,その状況に応じた対策を行ってきた.感染医療とともに外科医療を担う手術部の安全運営が重要である.
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