メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
10月29日 14:00–17:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS2-7指

臨床現場でどのように多職種連携コンピテンシーを活用するのか?

春田 淳志
慶應義塾大・医学教育統轄センター
【目的】超高齢者を迎えた本邦では,多併存疾患のケアだけでなく,ケアの継続性,生活や個人の価値観の尊重など,個人に合わせたケアが必要とされる.消化器病においては,高齢化と治療の進歩で胃ろう患者や在宅緩和などのニーズが増え,プライマリ・ケア領域との連携は欠くことができない.しかし,病院と診療所,入院と在宅,医師と看護師と介護士などの文脈の違いで,情報共有が難渋することも少なくない.そこで本発表では,ケアが移行する例を取り上げながら,多職種連携に求められる多職種連携コンピテンシーについて説明する.
【概要】多職種連携コンピテンシーは2つのコア・ドメイン「患者・利用者・家族・コミュニティ中心」「職種間コミュニケーション」とそれを支える4つのドメイン「職種としての役割を全うする」「関係性に働きかける」「自職種を省みる」「他職種を理解する」のから構成される.例えばアルツハイマー型認知症の女性が経口困難となった時に,献身的な介護をしてきた高齢の夫が胃ろうを希望すれば,病院としては胃ろうを進めるかもしれない.しかし,夫の考える胃ろうは妻の希望と合致しているだろうか?こんな時,患者を中心に据えた職種間コミュニケーションや専門性を発揮した各職種の情報共有が必要となる.胃ろうチューブを選択する際には,ボタン型バルーンは自己抜去のリスクや介護者の夫のボタンの開閉能力を考えなければならない.チューブ型バンパーはチューブ内汚染の洗浄ができないかもしれないし,腹部には痛みがでるかもしれない.何をどう調整するかは,患者だけでなく,ケアの場や介護者の違い,どのようなサービスが利用できるかなどが影響する.この調整には場を超えた情報共有が必要となり,医師や看護師のパワーを省みながら,多職種の理解や関係を踏まえたコミュニケーションが求められる.このような事例を踏まえ,消化器病に関する患者・家族のケアにおける連携を円滑に進めるための多職種連携コンピテンシーの活用について,皆さんと一緒に考えていきたい.
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