メディカルスタッフプログラム1(JDDW)
10月28日 9:00–12:00 第11会場(福岡国際会議場 502+503)
MS1-6指

福岡県における病床管理と広域調整

的野 多加志
飯塚病院・感染症科
新興感染症との闘いにはまず敵を知ることが重要だ.その感染源,感染経路,宿主特性をはじめとする適切な情報取集が欠かせない.COVID-19流行当初(2020年1-2月),武漢からのチャーター便,ダイヤモンドプリンセス,有力医学論文の報告から突きつけられたのは,封じ込め困難な気道感染症という事実だった.要するに,感染症指定医療機関,2次医療圏(地域医療構想),保健所管轄区域という既存のフレームを越えた新たな医療提供体制を構築することが喫緊の課題だったのだ.そこで,福岡県庁ならびに福岡県医師会を中心に,1. 病床拡張と医療機関の機能分化,2. 配慮を要する患者の受け入れ体制の構築,3. 県全域での病床管理と広域調整を柱とする対策を講じ,その都度,病院長や保健所長会議で問題意識を共有してきた.
 なかでも,県全域での入院調整は,2020年3月30日(第1波)から福岡県庁に調整本部を設置し,福岡県DMAT(医師,業務調整員)が常駐の上,広域調整を行っている.また,病床管理は,Googleスプレッドシートを基調とし,今ではFRESH(First-line REgional bed-control System for public Health)と名付け,COVID-19確定病床,疑い病床,後方支援病床に関するリアルタイム情報ならびに集計データをシェア(見える化)している.
 やれないことを嘆くのではなく,やれる工夫を考える.ストレッチゴールを見据え,OODAループで意思決定し,PDCAサイクルで改善していく.これら官民一体となった福岡県における今までの取り組みを報告する.
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