デジタルポスターセッション内043(消化器内視鏡学会)
10月28日 14:58–15:27 第15会場(マリンメッセ福岡 アリーナ デジタルポスター会場)
内P-215

多施設後方視的検討からみたEUS-HGSにおける最適SEMSとは 優秀演題賞 若手奨励賞

北村 英俊1
共同演者:片岡 幹統1, 中島 淳2
1
国際医療福祉大三田病院・消化器センター消化器内科
2
横浜市立大・肝胆膵消化器病学
【目的】近年,経乳頭ドレナージで困難な症例において,超音波内視鏡下胆管胃瘻孔形成術(EUS-HGS)が行われるようになった.そのステント開在期間(TRBO)から様々なSelf-expandable metallic stent(SEMS)が使用されるが,EUS-HGSに最適なSEMSは明らかになっていない.今回,多施設の後方視データを用いてpartially covered SEMS (PCSEMS) とfully covered SEMS (FCSEMS)の有効性・安全性の比較検討を行った.【方法】2017年1月から2021年12月までに国内12の共同研究施設でEUS-HGSを施行し,SEMSを留置した症例について手技成功割合,臨床的成功割合,ステント開存期間(TRBO),有害事象発生割合などを後方視的に検討した.【結果】対象症例は105例,男/女56/49例,年齢中央値 79歳(41-95)であった.使用されたSEMSはPCSEMSが55.2%,FCSEMSが44.8%であった.また,編み込み型が85.7%,レーザーカット型が14.3%であった.EUS-HGSの施行理由は,経乳頭ドレナージ困難症例が52.4%,標的胆管への経乳頭でのアプローチ困難症例が33.3%であった.PCSEMSとFCSEMSを比較し,手技的成功割合(100% vs 97.9%,p=0.45),臨床的成功割合(94.8% vs 87.2%,p=0.29),早期有害事象発生割合(6.9% vs 12.8%,p=0.33)では有意差を認めなかったが,TRBOはPCSEMSが有意に長かった(405 vs 158日,p=0.04).編み込み型では,FCSEMSは逸脱が多く,晩期有害事象発生割合が有意に高かった(5.8% vs 21.0%,p=0.04)が,PCSEMSはRe-intervention(RI)で抜去・交換ができたのは12.5%(1/8)のみであった.レーザーカット型FCSEMSは晩期で逸脱を認めず,全例(4例)でステント交換が可能であった.【結論】編み込み型PCSEMSはTRBOが長く晩期有害事象として逸脱も少ないためEUS-HGSにおける最適なステントの可能性があるが,抜去できない症例が多くRIに難渋する.本研究ではレーザーカット型FCSEMSの症例数が少ないが,晩期での逸脱なく抜去・交換が可能であり,今後の検討が期待される.
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