デジタルポスターセッション内003(消化器内視鏡学会)
10月27日 15:40–16:22 第15会場(マリンメッセ福岡 アリーナ デジタルポスター会場)
内P-20
食道におけるgel immersion ESDと手技の工夫
山田 啓策1
共同演者:田近 正洋1, 田中 努1, 大西 祥代1, 原 和生2, 水野 伸匡2, 羽場 真2, 桑原 崇通2, 奥野 のぞみ2, 倉石 康弘2, 柳井谷 駿史2, 山田 真規2, 石川 将2, 安田 司2, 丹羽 康正1,2
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- 愛知県がんセンター・内視鏡部
- 2
- 愛知県がんセンター・消化器内科
【背景】近年,電解質を含まないGIE専用gelビスコクリアを用いた内視鏡治療の 報告が散見されるが,食道ESDにおける使用経験の報告は少ない.また,gel immersion ESDはビスコクリア自体のコストの問題やBioShield irrigatorから用手的に注入するため,追加の人手を要するなどのデメリットもある.【対象,方法】対象は2022年1月から3月にかけて6例の食道表在癌に対してビスコクリアを用いたESDを行った.ESDナイフとしてORISE ProKnife,局注液は生理食塩水を用いた.また,ビスコクリアはBioShield irrigatorを用い注入した.ESDの手技はヨード散布後,送気下にてマーキング,局注針を用いて生理食塩水を局注しORISE ProKnifeで全周切開を行った.その後管腔内にBioShield irrigatorを用いgelを注入し,gel下にて粘膜下層剥離を行った.追加局注は適時,ナイフの先端からjet機能を用い生理食塩水を粘膜下層に注入しながら,ESDを完遂した.【成績】患者の年齢中央値は69歳で男/女 5/1であった.病変の占居部位はMt/Lt 3/3で肉眼型は全例が0-2cであった.切除径中央値は26.5*20mm,処置時間中央値(粘膜切開~剥離終了)は19.5分であった.ビスコクリア使用中央値は400gであった.穿孔や後出血,誤嚥性肺炎などの合併症は1例も認めなかった.【考察】ビスコクリアを使用した食道ESDはgelの浮力により局注液として生理食塩水のみでも挙上が良好で,安全なESDが可能である.また,ヒアルロン酸を使用しないことで全体的なコストダウンにつながる.さらに,ORISE ProKnifeはナイフの先端を出したままロックが可能なためgel下では,助手はビスコクリアを注入するのみでナイフを保持する必要がないため追加の人手を要することなくESDが可能であった.【結論】ビスコクリアを使用した食道ESDは安全で有用な方法となりうる可能性があると思われた.
- 索引用語1:食道表在癌
- 索引用語2:gel immersion ESD