デジタルポスターセッション内026(消化器内視鏡学会)
10月28日 14:44–15:19 第15会場(マリンメッセ福岡 アリーナ デジタルポスター会場)
内P-132

検診上部消化管内視鏡検査で検出された5mm以下,非拡大食道brownish areaの内視鏡像の特徴:炎症vs.上皮内腫瘍の比較検討

中谷 夏帆1
共同演者:西山 典子1,2, 小原 英幹1, 多田 尚矢1, 小塚 和博1, 松井 崇矩1, 小林 伸也1, 千代 大翔1, 谷内田 達夫1, 正木 勉1
1
香川大附属病院・消化器・神経内科
2
西山脳神経外科病院・消化器内科
【目的】近年,狭帯域光観察(NBI)の普及により食道領域の表在癌や上皮内腫瘍を効果的に拾い上げられるようになった.一方検診上部消化管内視鏡検査(EGD)では,非拡大細径スコープ等が汎用されるが,微小な5mm以下非拡大食道brownish area(BA)の取り扱いや精査対象とすべきその内視鏡像の特徴は明らかでない.そこで今回,5mm以下非拡大食道BAにおいて,上皮内腫瘍の拾い上げに寄与する内視鏡所見の特徴を検討する.【方法】2019年10月から2022年3月までの検診EGD非拡大スコープで検出され,生検を行った5mm以下食道BA 38病変を対象とし,NBI非拡大所見と生検病理結果を遡及的に検討した(倫理承認No.Reiwa04-005).NBI非拡大所見として上皮内腫瘍は,上皮の厚みを反映した病変下のシアン調緑色樹枝状血管の透見消失(Green vessel disappearance: GVD)及びIPCL拡張の有無を評価した.最も近接した内視鏡像を抽出し,その内視鏡所見を3人の内視鏡医でコンセンサスを得た.【結果】検出BA38病変の内訳は,炎症89%(34),LGIN11%(4)であった.炎症vs.上皮内腫瘍の比較検討では,GVD所見はLGINに有意にみられた[24%(8/34)vs. 100%(4/4),p=0.0018].IPCL拡張所見では2群に有意差を認めなかった[76%(26/34)vs. 100%(4/4),p=0.274].GVDかつIPCL拡張の組み合わせ所見は,GVD単独所見より2群間でLGINにさらに有意にみられた[15%(5/34)vs. 100%(4/4),p=0.0001].【結論】今回のpreliminary studyでは,検診EGDで検出された5mm以下非拡大食道BAのうち,上皮内腫瘍はGVDかつIPCL拡張所見を呈する可能性が示唆された.クリニックや検診内視鏡で汎用される非拡大内視鏡で微小BAを取り扱う上で,本所見が指針判定に有用になることが期待される.現在このcriteriaの妥当性を検証するための前向き試験を進めている.
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