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当院の肝炎ウイルス院内連携における肝炎医療コーディネーターの役割 |
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山元 明日香1, 大園 芳範2,4, 和田 徹也3 |
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1和田病院・臨床検査科, 2和田病院・内科, 3和田病院・外科, 4宮崎大・消化器内科 |
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【目的】肝炎医療コーディネーター (肝Co) には肝炎ウイルス検査の受検促進,キャリア例に対する受診勧奨,肝炎診療ネットワークへの連携など様々な役割が求められているが,実際の活動状況やその成果については不明である.我々は,常勤の肝臓専門医がいない中規模医療機関において,肝炎ウイルス陽性者を拾い上げ,その後適切なフォローアップを行うための院内連携システムを2018年11月から導入した.導入後の成果についてシステム導入前と比較検討を行った.【方法】肝Coが院内の肝炎ウイルス検査受検者全例を週に1回拾い上げ,その中から肝臓専門医が陽性者を抽出する.その後,非介入の症例を除外した後,当院に入院中あるいは外来通院中の患者に対しては主治医に連絡,当院に通院していない患者に対しては陽性通知書を郵送して肝臓専門医への受診勧奨を行っている.さらに,2022年6月から肝炎ウイルス陰性者に関しても,同様に肝Coと連携して陰性結果を説明する取り組みを開始し,当院に入院中および外来通院中の患者に対して肝Coが陰性通知書を渡して結果を説明している.【成績】2018年11月から2023年1月の期間でHBs抗原陽性率は0.84%(27/3187件),HCV抗体陽性率は1.27%(40/3157件)であった.肝臓専門医の受診率は,HBs抗原陽性例が90%(9/10例),HCV抗体陽性例が77%(10/13例)で,院内連携システム開始前(HBs抗原陽性例の8%,HCV抗体陽性例の25%)と比較して有意に上昇した(ともにP<0.05).また,2022年6月から2023年1月の期間において肝炎ウイルス陰性者への陰性通知書を当院に入院中および外来通院中の患者386名(肝炎ウイルス陰性者全体の91.5%)に渡すことができ,こちらに関しても陰性結果の説明率が大きく上昇した.【結論】肝Coと肝臓専門医との連携により,肝炎ウイルス陽性者における肝臓専門医の受診率,および肝炎ウイルス陰性者への結果説明率は有意に上昇し,肝炎ウイルス院内連携システムにおける肝Coが果たす役割の有用性が示された. |
索引用語 1:肝炎医療コーディネーター
索引用語 2:肝炎ウイルス |
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