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当院におけるHCV陽性患者に対する電子アラートシステムを用いた院内紹介連携システム導入効果の検討 |
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上杉 里枝1, 佐々木 恭2, 仁科 惣治2 |
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1川崎医大附属病院・中央検査部, 2川崎医大・消化器内科 |
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【背景】現在Direct acting antivirals(DAAs)の普及によりC型肝炎ウイルス(HCV)撲滅を目指せる時代となってきた.一方で,院内検査でHCV抗体陽性が判明した患者がその後適切な検査や治療を受けることなく放置された結果,肝硬変や肝がんを発症した症例を散見する.そこで,2017年より当院にて院内紹介連携システムを構築し,HCV抗体陽性患者に対する肝臓内科への受診勧奨を行ってきた.【方法】2017年より当院中央検査部ではHCV抗体陽性症例に対して,電子カルテおよび直接電話で検査施行医に肝臓内科受診勧奨を促す肝炎アラートシステムを導入した.システム導入前および導入後の期間に当院の肝臓内科以外の診療科におけるHCV抗体測定症例を対象にHCV抗体陽性率を調査し,その後の適切な肝臓内科紹介の有無等に関しても調査した.【結果】HCV抗体陽性症例に対して適切に肝臓内科への紹介がされなかった割合は,アラートシステム導入前(2016年)の48.6%と比べて,システム導入後の2017年は25.8%とほぼ半減し,それ以降も増加することなく,アラートシステムによる一定の効果が維持されていた.また,各科別の肝臓内科紹介率についても,大部分の診療科では明らかに向上していたが,ごく一部の診療科では依然として低率であった.尚,肝臓内科へ紹介された症例のうち,HCV-RNA陽性で抗ウイルス治療適応の症例に対しては,自己判断でdrop outした症例を除いては全例でDAAs治療の実施に至った.【考察】当院にて肝炎アラートシステム導入後5年経過した現在においても一定の効果は持続していることが明らかとなり,当院全体的にはC型肝炎に対する認識の高さが確認された.その一方で,依然として対応不十分な診療科も存在していた.そのため,定期的に病院全体のみならず対応不十分な診療科に焦点を絞った個別の啓発活動を行いHCVの根絶に一層努める必要がある. |
索引用語 1:C型肝炎ウイルス
索引用語 2:アラートシステム |
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