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メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
11月4日(土)  14:00 - 17:00   第13会場:神戸国際会議場 国際会議室
MS2-5指
早期からの緩和ケアには何が必要か―がん拠点病院における医療ソーシャルワーカーの取り組みから―
品田 雄市
東京医大八王子医療センター・総合相談・支援センター
がん拠点病院に設置されているがん相談支援センターでは,がん治療をめぐる相談支援を提供する.がんと診断された時からの緩和ケアが,患者・家族にとって有益であるとされる一方で,患者・家族にとって緩和ケアは依然として終末期ケアを連想したもので,受け容れがたい医療者からの提案と受け止められている事象がある.医療従事者であるが治療に直接的に関わらない立場にある医療ソーシャルワーカーは,患者・家族が胸の内を吐露する場面に遭遇することが多い.分子標的薬を始めとする創薬によりがん治療は長期化し,がん治療の患者の身体・心理・社会的側面への配慮,治療と生活との両立支援も重要となっている.医療ソーシャルワーカーは,がんの確定診断前からエンドオブライフまで,患者・家族たちへのトータルケアを提供できる可能性を有している.一方,患者体験調査では,がん相談支援センターの利用率は1割程度に止まっている.相談支援提供の周知もさることながら,相談支援が患者にとって有意義であると認識されることも普遍的緩和ケア提供の機会を患者に保障することに繋がっていく.このような中,2022年8月に通知された拠点病院整備指針において,すべてのがん患者が通院しているがん拠点病院のがん相談支援センターを早期に利用できる方策を講じるよう病院全体の取り組みが求められたことは意義深い.患者・家族に,早期からの緩和ケアが遅滞なく提供されるために,医療ソーシャルワーカーは,1.自治体と協働したACPの普及啓発,2.精密検査目的の入院時からの告知時に向けた準備,3.告知時に同席し,診察後の患者・家族の反応を観察しながら適切な心理・社会的ケアを提供する,など多層性のある取り組みを行なっている.当日は,患者・家族が生活にがん治療や緩和ケアを取り込んでいく努力を側面的に支援し,地域との連携・協働により患者・家族の想いを実現してきた取り組みからみた早期からの緩和ケアについて提示したい.
索引用語 1:がん相談支援
索引用語 2:医療ソーシャルワーカー
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