【背景・目的】都道府県がん診療連携拠点病院である当院は,2013年に通院加療がんセンター(Ambulatory Therapeutic Cancer Center以下ATCC)を整備した.現在38床で,年間10000例のがん治療を行っている.近年,患者さんの高齢化,伴う筋力低下が顕在化,治療継続不能例が,増加している.今回,フレイル調査を前向きに行い対策を講じたので,結果について述べる.【対象・方法】2022年4月,口頭でフレイル調査について説明し同意を得られた145名についてフレイル質問表(Friedのフレイル評価基準に基づく)の回答に基づき,通院への影響を調べた.身体フレイル評価は5の質問のうち3項目該当,口腔フレイル及び社会的フレイルについては,2項目中一つでフレイル陽性とした.【結果】145名(外科45血液32消化器22呼吸器17婦人科12泌尿器10耳鼻科6口腔外科1,平均年齢70.8歳)中,身体的フレイル陽性32%,口腔フレイル陽性33%,社会的フレイル陽性16%と判定された.身体的フレイル例は当院のリハビリテーション科27名と協力し,通常入院例のみを,外来実施できる運動を提案し,介入し,口腔フレイルは口腔外科・かかりつけ医併診,社会的フレイル例は患者支援センター16名と協同し地域包括ケアへ情報共有した.【結論】ATCCでは,通院可能な患者さんのがんの治療を行っている.過去の腫瘍増大による通院不能例に比し,相対的増加するフレイル問題を事前に多職種間連携し,がん治療中断をさけ,患者さんの生命予後,生活の質の改善が図られると考えられる. |