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メディカルスタッフプログラム2(JDDW)
11月4日(土)  14:00 - 17:00   第13会場:神戸国際会議場 国際会議室
MS2-8
慢性偽性腸閉塞症患者の緩和ケアニーズと多職種連携
田中 幸介1,2,3, 結束 貴臣1,2, 中島 淳2
1国際医療福祉大成田病院・緩和医療科, 2横浜市立大大学院・肝胆膵消化器病学, 3九州病院・緩和ケア科
【背景】慢性偽性腸閉塞症(CIPO)は,器質的原因は伴わず,持続的な腸管拡張と腸閉塞症状を呈する10万人に1人の重篤な消化器系難治性疾患であり,専門的な症状緩和の重要性が高まっている.死因の多くは感染症だが,我々はこれまでに自殺が死因の22%であることや緩和ケアニーズ(症状が辛い,周囲の理解が乏しい等)が69%と高いことを報告した(JNM 2023).そのため,精神科を含む緩和ケアチーム(PCT)の介入の必要性が示唆されるが,既報は未だない.今回,CIPO患者に対してPCTが介入した活動を報告する.【方法】2023年10月から現在までに当院に入院した3例にPCTが介入した活動を報告する.【結果】1例目は30代女性,症状も軽度だが,診断目的に当院へ転院となり,cine-MRIで確定診断となった.入院中にPCTが介入したが特に訴えなく,腹部膨満症状時の食事制限を指導し,現在は外来通院中である.2例目は40代女性,診断例で継続加療目的だった.すでに経胃瘻的空腸瘻(PEG-J)は挿入され,腸管拡張は軽度だが,難治性の腹痛に苦しんでいた.脊髄硬膜外刺激療法を施行するも満足のいく症状改善は得られなかった.また,精神的苦痛の可能性も踏まえ精神科へのコンサルト及び精神科病棟への入院も試みたが,精神科に対する反対意識が強く良好な経過は得られなかった.PCT介入への理解は良好であり,看護師が数時間に渡って傾聴を行い不安軽減や病気への理解をもった共感に努め退院した.3例目は40代男性,他院で回腸ストマを造設され,診断目的に当院へ転院となり,cine-MRIで確定診断となった.薬剤師と相談し,腸管滅菌療法を実施した.看護師と協働して頻回のストマ還納を行いつつ,ACPを繰り返した.ストマを落として普通の父親をしたい希望を聞いた.現在胃瘻造設(PEG)からPEG-Jへ移行中で,紹介元で再度手術を行うため転院調整も平行している.【結論】CIPO患者へPCTとして精神的,社会的苦痛に対して介入を試みた.全人的苦痛の緩和にはさらなる介入実績の集積が必要と考える.
索引用語 1:慢性偽性腸閉塞症
索引用語 2:CIPO
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