【背景】医師の働き方改革において,効率的な医療提供を進めるためにチーム医療の推進が図られている.その中で,各専門職種によるタスク・シェアリングの実施が重要と考えられている.なかでも適切な栄養管理の実施は治療経過に影響を与えるため,質の高い栄養管理のタスク・シェアリングが不可欠である.当院では全ての病棟に管理栄養士(RD)が1名以上常駐し,栄養管理のタスク・シェアリングを行っている.そこで当院の病棟常駐を行うRDが医師への提案を行った件数や食事調節などの業務状況を調査した.【方法】2023年の2月,8月に各2週間ずつ計4週間のRDによる業務量を調査した.業務量として医師や看護師から依頼があり食事入力や変更を行った件数,医師への提案件数および採択件数,医師から許可を得てRD判断で食事内容の調節を行った件数などを調査した.尚,調査期間中の許可病床数は452床であった.【結果】医師・看護師の変更依頼に対してRDが対応した件数は453件であった.一方,医師から許可を得て食事変更を行った件数は1140件と依頼対応を行った件数の2.5倍であった. RDが患者の栄養管理について検討し医師に栄養管理の変更を提案した件数は866件であり,その提案が実際の栄養管理に反映された件数は731件(≒84%)であった.その内,最も多い提案が食事変更についての提案(331件: 38%)であり,次に多い提案は経腸栄養に関する提案(260件: 30%)であった.また,医師と相談し経腸栄養の投与計画をRDが作成した件数は138件であった. 【結論】病棟常駐を行うRDにより,多くの栄養管理がタスク・シェアリングされていた.またRDからの提案の多くが実際の栄養管理に反映されており,RDが医師や多職種と連携することで,より良い栄養管理を実行できていたと考えられた. |