メディカルスタッフプログラム2(JDDW) |
11月2日(土) 14:00 - 17:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室 |
地域医療を支える多職種連携のダイナミクスと省察的実践家像 | |||
春田 淳志 | |||
慶應義塾大・医学教育統轄センター | |||
【背景】地域医療を支える多職種連携には,以下の形態が考えられる.1. 内視鏡や病棟業務などのタスクシフト・シェア,2. 質改善や医療安全に基づく連携,3. 外来における院内外医師との連携,4. 院内での手術や終末期における外科や緩和ケアチームとのコンサルテーション,5. 退院時の医療・介護サービスとの連携.本講演ではこれらの多職種連携に焦点を当て,業務の効率性と安全性,関わる職種,権威勾配,情報共有の場と手段,意思決定と責任の所在との関係を軸に考察する. 【連携の形態】タスクシフト・シェアは効率性を求める連携であり,例えば,検査技師がカプセル内視鏡支援技師に認定されることで,業務が効率化される.しかし,これには技師の準備や権威勾配のフラット化,業務整備への時間と準備が必要となる.権威勾配を高く感じる医師は,自職種の役割の脅かしと感じるかもしれない.質改善や医療安全におけるチーム検討は,多くの時間を要するため医師の一部は参加を嫌う.これは,早急に結果がみえない,医学以外の課題解決の不慣れが影響している.指示受け側を想像できず,曖昧な指示でミスが生じることもある.外来の連携では,連携相手との距離が障壁となり,紹介状を通じた情報共有の漏れや文脈の違いが問題となる.一方,入院中は同じ場で関係が形成され,知識の共有はしやすいが,意思決定や責任の所在が曖昧となり,医師間の関係が悪化することもある.退院時の連携では,患者が日常生活に戻ることを意識し,医学的な課題だけでなく,家族の負担や介護サービスの状況を踏まえた視野を持ち,時に意思決定を今後主役になる在宅チームに委ねつつ,情報提供を怠らない姿勢が求められる. 【考察】地域医療を支える多職種連携において,医師は権威勾配の高い立場になりやすく,他職種や医学以外への関心が弱くなることに自覚的である必要がある.「自職種の省察」「他職種の理解」は医師にとって重要な多職種連携コンピテンシーのドメインであり,多職種連携においても省察的実践家像は有用なモデルとなる. |
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索引用語 1:多職種連携コンピテンシー 索引用語 2:省察的実践家 |
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