【背景】消化器疾患の病院食では病態に見合った栄養学的な質に加え「美味しいという感覚」を満たしつつ,法令に合わせた食事を立案し提供する管理栄養士,調理師のみならず,看護師,介護士,リハビリテーションスタッフ等の多職種による協働が求められる.【目的】地域の消化器専門病院において多職種からなるチームによる持続可能な提供の具現化ができるか検証した.【方法】多くの制約を伴いながら多職種による食事提供の経験が豊富な組織として国内大手の航空会社(以下,航空)にコンサルテーションを行い,航空で依頼への対応チームが編成.本プロジェクトを「日本一美味しい病院食ご提供プロジェクト」と命名.期間は9か月と設定,ゴールは院内全職種が集まる月例経営会議での成果報告会とした.月に一回以上のオンライン・現地会議も行い,病院での現状把握,ヒアリング,厨房や病棟の視察を実施.院内多職種間および航空間で相互の情報共有のためSNSのグループ機能を活用.多職種での「ご提供」のため上級クラスに搭乗し,安心・安全への取り組みや機内食提供を含む一連のホスピタリティを視察.国際線機内食を監修する料理長らが来院し,病院厨房内で複数回に渡る食に関する講話や実技指導を受け,院内で持続可能な手法を考案し,検証を重ねた.【成績】多職種の役割を最大限に尊重しながら航空が相互の課題を緻密に聞き取り,伴走しながらの支援は病院機能に合わせたメニュー考案や提供方法の質向上のみならず多職種間の相互理解と信頼を醸成させた.経営層を含む全職種と航空側が多数参加した成果報告会では「自信をもったご提供」のデモンストレーションを開催した.【結論】国内大手エアライン伴走型の「日本一美味しい病院食ご提供プロジェクト」は多職種協働による革新的な「食」を追求する自発的な持続可能な活動に繋がった. |