メディカルスタッフプログラム2(JDDW) |
11月2日(土) 14:00 - 17:00 第13会場:神戸国際会議場 国際会議室 |
地域医療の未来を拓く: 多職種連携と医師の働き方改革 | |||
藤川 葵 | |||
聖路加国際病院・内科 | |||
医療の進歩と高齢化社会の到来に伴い,様々な疾患に対する専門知識と技術が必要とされる時代に突入している.特に,地域医療においては,病院・診療所・在宅と医療を提供する場が頻繁に変化する高齢者も多く,なおさら医師や医療スタッフが連携して総合的に患者を診る多職種連携が不可欠である. 一方で,医師の働き方改革も重要な課題である.医師の働き方改革は,医療の質を維持しつつ,医師の労働環境や働き方を改善することを目指しており,これにより,医師がより良い医療を提供するための環境が整い,地域医療の充実にもつながると期待されている. その医師の働き方改革の推進の鍵となるのが,タスク・シフト/シェアである.厚生労働省医政局が令和3年9月30日に発出した通知「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」の内容を医療機関で読み直した上で,各職種の専門性を生かした業務の効率化を図る取り組みの実施について,関係者が建設的に意見交換を行うことが望ましい.また,厚生労働省が医師の働き方改革の推進のために設けている地域医療介護総合確保基金区分VI(勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業)を活用することで,タスク・シフト/シェアに必要な財源の確保も可能だ.行政の支援を生かしつつ,看護師,臨床検査技師,薬剤師などの医師以外の職種がより専門性を発揮し,効率的に業務を進め,かつ,医師の業務負担を軽減することができれば,医療機関全体の働き方改革にも通じることになるだろう. しかし,日本の地方都市では,人口減少に伴い,医師以外の職種の採用が難しくなりつつある.各医療機関で効果的な対策が求められており,例えば,遠隔医療やICTを活用した医療情報の共有化など,多職種連携の人手不足を補うための新たな取り組みが必要だ. 超高齢化社会における医療は,地域住民や地域医療機関,行政が連携して,地域医療の充実を図る必要がある.今後も,多職種連携と医師の働き方改革を推進し,地域医療の充実を図っていくことが重要である. |
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索引用語 1:医師の働き方改革 索引用語 2:地域医療介護総合確保基金 |
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