統合プログラム 3(S)
ゲノム時代の内科学・外科学―消化器疾患とゲノム診療の未来
31日 9:00~12:00 第6会場
公募・一部指定
司会 | 中島貴子 | 京都大大学院・早期医療開発学 |
池田貞勝 | 東京科学大病院・がんゲノム診療科 | |
小林 信 | 国立がん研究センター東病院・肝胆膵外科 |
消化器がんや炎症性腸疾患,肝疾患などにおいて,個別化医療や予後予測の精度向上に寄与するゲノム解析の役割が急速に拡大している.たとえば,大腸がんや胃がんにおける分子標的治療では,KRAS,BRAF,HER2といった遺伝子変異の解析が治療戦略を左右し,RET融合遺伝子陽性例に対するセルペルカチニブ,NTRK融合遺伝子陽性例に対するエヌトレクチニブやラロトレクチニブなど,tumor agnosticに保険承認された薬剤も登場している.血液循環腫瘍DNA(ctDNA)解析による分子残存病変(MRD)の評価は再発リスクに基づく術後治療の個別化を可能とするかもしれない.さらに,炎症性腸疾患における遺伝子多型の研究は,治療反応性の個別化や長期予後の改善に向けた道を開く可能性がある.一方,慢性肝疾患におけるゲノム解析は,早期診断や治療法の個別化に寄与する可能性がある.本シンポジウムでは,ゲノム医療の進展に伴う消化器疾患の診断・治療に焦点を当て,内科および外科の最前線で活用が期待される最新のゲノム診療,臨床応用の鍵となる技術的課題,臨床実装における課題などについて議論する.