シンポジウム 4
B型肝炎における残された課題とその対策
30日 9:30~12:00 第4会場
公募・一部指定
司会 | 四柳 宏 | 東京大医科学研究所・先端医療研究センター感染症分野 |
田中靖人 | 熊本大大学院・消化器内科学 |
ワクチンの定期接種によりB型肝炎の新規発生は大幅に減少したが,世界には依然として2.5億人以上のキャリアが存在し,今後も新たな感染が続くと予測されている.B型肝炎治療の目標は肝臓関連の死亡を防ぐことにあり,核酸アナログ製剤(NA)の登場で治療は大きく進展した.しかし,NA単独ではfunctional cureの達成は難しく,肝がんリスクをさらに減らすためには新薬の開発が必要だが,臨床試験のハードルは依然として高い.治療適応をGrey Zoneまで拡大するかどうかはグローバルでも議論されているが,十分なエビデンスの蓄積が求められている.さらに,B型肝炎患者の高齢化に伴い,多臓器がんや自己免疫疾患を合併する症例が増え,HBV再活性化や免疫関連有害事象(irAE)との鑑別といった新たな課題も浮上している.本セッションでは,疫学,病態,治療,予防における未解決の課題を議論し,今後の研究と診療に貢献することを期待したい.