腹腔鏡手術，ロボット支援手術や内視鏡治療の開発に伴い，消化器疾患に対する低侵襲治療の普及が進んでいる．特に，消化管がんや肝胆膵がんに対する低侵襲手術では，術直後の患者QOLの向上や術創縮小による美容面などでの利点が大きい一方で，根治性や長期生存の確保，合併症発生率低減などにおけるエビデンスは十分とは言えない．早期消化管がんに対するESDを中心とした内視鏡治療は，臓器温存可能な利点は大きいが，発がん母地を残すため，異時多発やリンパ節転移のリスクを見極めたうえで，慎重なサーベイランス戦略が必要である．さらには，これら低侵襲治療では一般的に多くの消耗品デバイスを使うため，治療のコスト増大や費用対効果は我が国の健全な保険診療維持や病院経営において喫緊の課題である．本セッションでは，消化器領域において急速に進化・普及する低侵襲治療の功罪について活発なディスカッションを行いたく幅広く演題を募集する．