パネルディスカッション 13
癌に対する肝移植の適用-移植か,切除か
公募・一部指定
| 司会 | 大段秀樹 | 広島大大学院・消化器・移植外科学 |
| 日比泰造 | 熊本大・小児外科・移植外科 |
日本において肝移植が保険適用となる悪性腫瘍は,成人では非代償性肝硬変に合併した肝細胞癌に限られる.一方,諸外国では肝機能に依らず腫瘍学的観点から適応が定められており,米国では2010年以降,切除不能肝門部胆管癌が標準適応として定着している.大腸癌肝転移についても,欧州の無作為化比較試験TransMet(2024)で良好な成績が示され,両領域は日本でも先進医療Bとして臨床試験が進行中である.さらに,神経内分泌腫瘍肝転移や肝内胆管癌では,厳格な選択下の移植で長期生存・治癒が期待され,体外切除+自家肝移植は切除限界を拡大しつつある.移植患者に対する免疫チェックポイント阻害薬や免疫細胞療法の慎重な活用も進み,腫瘍学と移植医学の融合「transplant oncology」が注目されている.本パネルディスカッションでは,移植と切除の最適な棲み分け,再発予防の補助療法・周術期治療,適応判定と倫理・制度面を含め,最新エビデンスと国内実装可能性を議論する.