シンポジウム 3
これからの肝移植の位置づけ
公募・一部指定
| 司会 | 吉住朋晴 | 九州大・消化器・総合外科 |
| 玄田拓哉 | 順天堂大静岡病院・消化器内科 | |
| 内田洋一朗 | 京都大・肝胆膵・移植外科 |
肝細胞癌に対する治療の中で,肝移植は唯一根治が期待できる治療法であり,近年では肝胆道悪性腫瘍への適応拡大も進みつつある.2024年1月には脳死肝移植レシピエントの適応基準が改訂され,非代償性肝不全の評価はChild-Pugh分類CからB以上へと緩和され,今後の脳死肝移植数の増加が予測されている.一方,抗ウイルス療法の進歩によりB型・C型肝炎は減少し,アルコール関連肝疾患(ALD)や代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)を背景とする症例が著増し,移植対象疾患の構造は大きく変化している.さらに,脳死ドナー肝における脂肪沈着は高頻度に認められ,中等度以上の脂肪肝グラフトは虚血再灌流障害を介して移植後成績に不利な影響を及ぼすため,その有効活用に向けた戦略の確立が喫緊の課題となっている.以上を踏まえ,本シンポジウムでは肝移植の現状と今後の位置づけ,さらには将来展望について,基礎および臨床の両面から活発な議論を行いたい.