シンポジウム 11
HER2陽性消化器癌の診断と治療
公募・一部指定
| 司会 | 柴田 近 | 東北医薬大・消化器外科 |
| 池田公史 | 国立がん研究センター東病院・肝胆膵内科 |
HER2は乳癌領域で早くから治療標的として確立され,消化器癌においてもその臨床的意義が広く認識されるようになった.特に胃癌や大腸癌では,トラスツズマブなどの分子標的治療の導入により予後の改善が示され,現在ではトラスツズマブ デルクステカンなどの抗体薬物複合体をはじめとした新規薬剤の登場により治療戦略は大きく変化している.一方で,HER2発現の不均一性,病理診断の標準化,耐性獲得機序といった課題は未だ解決されておらず,正確なバイオマーカー評価と治療選択の最適化が求められている.さらに,免疫療法や他の分子標的薬との併用戦略も研究が進み,今後の展開が注目される.本セッションでは,病理診断から臨床応用,さらには新規治療開発まで,HER2陽性消化器癌をめぐる最新の知見が紹介され,臨床と研究の両面から多角的な議論が展開されることを期待したい.