この度、JDDW2021、第59回日本消化器がん検診学会大会長を担当いたします、帝京大学の濱島ちさとです。JDDWにおいて本学会の会長を務めさせて頂きますことをたいへん光栄に存じます。
本学会のテーマは、利益・不利益バランスに基づくがん検診の政策決定です。
保健医療分野では科学的根拠に基づく医療政策決定を行うことが期待されており、がん検診も例外でありません。科学的根拠を明確にするための診療ガイドラインでは、利益ばかりでなく、様々な不利益についても検討し、利益と不利益のバランスを検討することが国際標準となっています。がん検診においても、利益・不利益バランスを検討し、真の利益を最大化できるがん検診を検討する必要があります。
主題シンポジウムでは、がん検診の利益である死亡率減少効果を始めとするエビデンスがいかに構築されてきたか、国際標準レベルで検証します。さらに、ガイドラインに基づき、がん検診のエビデンスを再検討します。また、ワークショップではがん検診の不利益の減少に向けてのアクションプランを議論します。
招待講演者としては、がん検診の政策決定に長年関与されてきた2人の研究者をお招きします。がん検診の理想型である組織型検診については、Public Health EnglandのScreening 担当Director であるAnne Mackie教授からご講演頂きます。また、国立台湾大学公衆衛生院のTony Chen教授からは、公衆衛生の成功事例として、台湾のCOVID19対策をお話し頂きます。
がん検診の目的は単に多くの人々に検査を行うことではありません。公衆衛生施策として、市民の健康改善を目的とした予防対策です。その成果を正しく導くためには、エビデンスに基づくがん検診を選択し、適切な運用が求められます。
これまでに蓄積されてきた成果を政策に反映し、エビデンスの正しい理解とその応用を進めるためにも、多くに皆様にご参加いただき、活発な議論を期待しております。