この度、伝統ある日本消化器がん検診学会の第51回大会会長を拝命致しました。大変光栄に存じるとともに、学会のみならず、社会に向けていかなる貢献ができるかということも含め大きな責任を感じております。
がんはわが国で他の主要疾患を圧して最大の疾病負担となっています。このような中でがん検診は国家的がん対策の中心と位置づけられ(WHO 2002)、海外では既に乳がん、子宮がんの死亡率減少という大きな成果がえられています。わが国でも平成19年に策定されたがん対策推進基本計画の柱に位置づけられ、成果を目指した取り組みがようやく始まりました。消化器がん検診をテーマとする本学会の役割も自ずと大きいものと考えます。
本大会では『科学的根拠に基づいたがん検診を目指す』をテーマに据えました。健常者を対象とする検診では患者を対象とする診療上の診断とは原理・原則が異なり、優れた診断法が必ずしも有効な検診法ではありません。有効性が不明なままにがん検診を行うと、利益よりもむしろ過剰診断を始めとする大きな不利益をもたらし得ることも知られています。検診の有効性の判断基準はいわゆるエビデンスであり、今こそ科学的根拠に基づいたがん検診の実現に向けて一歩を踏み出す時と捉え、テーマとした次第です。
本大会では現在の主な消化器がん検診に関するトピックについて、広く消化器病関連学会の方々と科学的根拠に基づいて活発な議論を展開していただき、消化器がん検診に関する質の高い研究の促進につなげると共に、現状のエビデンスの共有に役立てていただくことを目標にしたいと考えております。
第51回大会、つまり学会創立から1世紀の後半の初年度にあたり、改めて国際水準のがん検診学のスタートを目指したいと考えています。消化器関連諸学会のご協力をいただきながら、本大会が、わが国の消化器がん死亡率低減へ向けた本学会の取り組みの端緒の機会として、些かでも貢献できることを祈念しております。
多くの会員の皆様のご支援と積極的なご参加を是非よろしくお願い申し上げます。
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