JDDW 2024 (Japan Digestive Disease Week 2024)

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会長挨拶

四柳 宏
第28回日本肝臓学会大会
会長 四柳 宏
東京大学医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野

第28回日本肝臓学会大会の会長を拝命しました四柳宏と申します。

日本肝臓学会は1996年4月に神戸市で行われた第4回からJDDWに参加しております。この時の会頭は私の大学の先輩である山中正己先生でした。私は、名越澄子先生とご一緒に、山中先生から当時の思い出を直接伺ったことがございます。そのような歴史と伝統ある本会を担当させていただくことを光栄に存じます。

ウイルス肝炎に関する治療は、1996年にはインターフェロン療法しかありませんでしたが、その後大きく進歩し、HCV、さらにはHBVの排除が視野に入る時代になりました。ウイルスを排除・制御した後の対応が現在の大きなテーマです。肝炎ウイルス以外の微生物の肝臓への作用・病態も話題になっています。

肝臓の最大の機能は糖質・脂質・蛋白質・薬物などの代謝です。糖尿病をはじめとする代謝性疾患、アルコール性肝障害などに合併する脂肪性肝疾患は、MASLDと呼ばれるようになりました。肝硬変・肝細胞癌の原因疾患もウイルス性肝疾患からMASLDに変わりつつあります。その時流に遅れずに診療を行うことを一つの目的に、2023年6月に行われた日本肝臓学会総会で奈良宣言が出されました。

以上のような肝疾患の変化を鑑み、第28回日本肝臓大会のテーマは、“肝臓学の新しい潮流”と致しました。臨床の大きなうねりは先に申し述べた通りですが、肝疾患・肝臓の研究も、遺伝子・細胞の時代から次世代シークエンサー、シングルセル、オルガノイドを使った多彩な研究、そこから得られたデータの重層的なマルチオミックス解析へと大きく変化してきています。消化器関連学会が以前から行ってきた人工知能の研究・臨床への応用も、学会の開催時にはさらに進んでいることと思います。

学会場で直接発表を聞き、議論すること、講演会場を離れて交流を深めることがやっと自由にできるようになりました。秋深まりゆく神戸に足をお運び頂き、肝臓学の新たな潮流を感じて頂ければと思います。皆様とお会いするのを楽しみにしております。

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