会長挨拶
第15回日本肝臓学会大会 高後 裕 旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科 |
このたび、第15回日本肝臓学会大会を2011年10月20日(木)、21日(金)の2日間、JDDWの一環として、福岡市で開催させていただくこととなり、身に余る光栄に存じます。このような機会を与えてくださった日本肝臓学会の会員の皆様に心から感謝申し上げます。今回の大会では、「肝臓学の輪廻と未来」というメインテーマを立てさせていただきました。その趣旨は、「肝臓という臓器を舞台として、その時々の社会、環境、感染など多くの背景と、治療・診断的アプローチの違いや基礎医学の基盤的知識と研究手技発展の中で、肝疾患の臨床と研究に関する対象と興味が、繰り返してしていることを「輪廻」という言葉であらわし、とくに若い世代が、それを念頭において、近未来における肝臓学・肝疾患臨床の方向を把握し、意欲的に取り組んで欲しいと願ったものです。
大会が臨床的課題を中心にすることを基本としていることを念頭に、シンポジウ6題、パネルデイスカッション2題、ワークショップ6題、特別企画1題の主題を組みました。多くの参加者が興味を持つウイルス肝炎・肝がんに関するテーマと、時代を超えて重要な肝臓学のテーマや、基礎と臨床の橋渡しに関する話題を広く取り上げるよう心がけました。私自身は、長年、鉄を中心とする金属代謝やアルコール代謝の基礎と臨床に関わってきましたので、特別講演、招待講演の各1題は、その分野から取り上げさせていただきました。「未来」の肝臓病は、現在の疾病構造を丹念に読み取ることから始まりますので、特別企画として「我が国における非B非C肝硬変症の実態調査」に関するポスター討論を予定しています。丁度4年前の愛媛での肝臓学会総会で網羅的に肝硬変の成因調査が行われており、その後の急激なNASH研究の進歩を踏まえて、NBNC肝硬変症の詳細な動向と我が国の肝疾患構成の将来像について議論していただければ幸いです。肝炎対策基本法が成立してから、拠点病院を中心とした連携に関しても現状分析が可能となる時期に入りますので、パネルデイスカッションを組みました。本会期中に、米国NIH/NIAAA、南カリフォルニア大学、日本消化器病学会、日本肝臓学会の共同主催でThe Sixth International Symposium on Alcoholic Liver and Pancreatic Disease and Cirrhosis JDDWも開催されることになっており、海外からの参加者も多く、扱うトピックもアルコールに限らず広く網羅されておりますので、若手の会員や国内におられる多くの外国人留学生の積極的参加を期待しています。JDDWに参加される他の5学会とともに、協力・協調しながら、かつ本学会の特徴を生かした会となるよう、教室員一同努力させていただく所存です。
多くの会員の先生方の、ご参加とご発表を心よりお待ち申し上げております。