2012年10月10日〜13日 神戸国際展示場・ポートピアホテル・神戸国際会議場

会長挨拶

第16回日本肝臓学会大会
佐田 通夫 久留米大・消化器内科
会長:佐田通夫

この度、第16回日本肝臓学会大会を2012年10月10日(水)、11日(木)の2日間、JDDWの一環として、神戸市で開催させて頂くことになりました。身に余る光栄であり、このような機会を与えていただきました日本肝臓学会会員並びに関係各位の皆様に心から感謝申し上げます。今回の消化器病学会大会会長である鈴木一幸先生とは、これまで肝疾患領域をテーマにした診療や研究を続けてきた同志です。東日本大震災に被災された、想像に絶する状況のなかで、将来をみすえて懸命に頑張っておられる先生と共に、奇しくも震災から見事に復興した神戸の地において、今大会を開催させていただくことの不思議な縁を感じております。また、それ故の責任と緊張感を感じております。

今回の肝臓学会大会ではメインテーマを「肝疾患に対する最善の医療をめざして」とさせていただきました。基礎及び臨床研究が進歩するなかで、医療の現場では肝癌の撲滅が、我々の視野に捉えることのできる現実の状況となっています。ウイルス肝炎の撲滅も夢ではありません。このような状況のなかで我々は最終的に、どのような医療を病める人に提供すべきかを、もう一度問いなおす必要があるように思います。その提供すべき医療を最善という言葉で表現させて頂きました。「最善の医療」を、どうしたら提供出来るかを医療の現場から得られた問題点を基軸に論議する場になればと考えて主題内容を考えました。

また、大会は臨床的課題を中心にすることを基本にしていることも念頭において、シンポジウムを4題、パネルデスカッション7題、ワークショップ4題、消化器病学会との合同で特別企画1題の主題を組みました。ウイルス性肝炎では、これまであまり取りあげられたことがないCohort研究からみた肝炎の解明に焦点を当てたいと思います。優れた研究があることを認識する機会になればと考えています。わが国ではC型肝炎患者の高齢化が進み、高齢の肝癌患者が増加しています。新たな抗ウイルス薬が開発されるなかで、この状況にどう対処すればよいかの指針を示すことは緊急の課題です。これから登場するHCVに対する抗ウイルス薬については、招待講演のなかで海外の最新情報を紹介していただきますが、わが国での新たな展開の参考になればと思います。これからnonBnonC肝癌は、さらに確実に増加するでしょう。発癌予防、早期に発見するための対策を立てなければなりません。消化器領域以外の医療従事者との連携が急務ですし、チーム医療の構築、提供が求められています。一方、肝発癌に関わる幹細胞のインパクト、インスリン抵抗性との関連、NASHとASHの関与は実際どうなっているのか、肝癌の治療に関しては分子標的治療薬の限界を超える新しい治療法の開発が必要です。このようなことをテーマに発表と討論をしていただきたいと思います。門脈圧亢進症に関しての新たな画像診断と治療法を、また肝疾患の病態と血小板との関連、ウイルス性肝炎と肝外病変、肝疾患に対しての先端医療などについても論じていただくことにしています。最善の医療を視野にいれたチーム医療のありかた、そして東アジアにおける肝疾患の特色を論じてもらうために海外からの参加者を交えた討論を企画致しました。脳死肝移植を推進するための方策、問題点を示していただくためのワークショップも計画致しております。

以上のようなテーマにそった発表・討論のなかで最善の医療とは何かを示していただければ幸いです。多くの方々のご参加と発表を心よりお待ち申し上げます。

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