この度、第22回日本肝臓学会大会の会長にご指名いただきました山梨大学の榎本です。このような大役を仰せつかり大変光栄に存じております。どうかご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
今回のテーマはシンプルに「肝臓病学の諸問題」とさせていただきました。ウイルス肝炎の治療が格段の進歩を遂げたなかでより幅広い課題について活発な議論の場になればと願っております。JDDWのなかで肝臓学会主導としては10題の主題を設定させていただきました。テーマとしてはウイルス肝炎、肝癌、肝硬変、脂肪肝炎、自己免疫性肝疾患、線維化・再生など間口はひろくなっておりますが、若干会長なりに工夫しこの10題はすべて「〜をめざす」として研究発表のエンドポイントを設定させていただきました。これらの幅広いテーマに対しまして会員の先生方が様々なアプローチで取り組まれた多様な素晴らしい研究成果が、現在私達が直面しております課題の解決にどのように活かしていけるのかといった観点から議論が深まればと考えております。まず、ウイルス肝炎および脂肪肝炎は最終的には肝癌への進展を防止することが大きな目標の一つですし、C型肝炎では感染そのものの根絶も重要なテーマです。肝癌では早期発見・局所制御および進行例の生存期間延長を目標に掲げさせていただきました。肝硬変につきましては生活・生命予後の改善、さらに線維化・再生研究に関しては肝臓修復への展望と設定いたしました。肝炎、肝癌に関するセッションでは海外演者による招待講演を予定しております。またJDDWでは各学会がInternational Sessionを開催することになっており、肝臓学会では「肝炎・肝癌の諸問題(Current and next problems in hepatitis and HCC)」と題して海外演者を交えて各国での現状と展望について最新の情報を交換できる場になればと期待しております。肝臓学会担当のJDDW統合セッションでは肝癌の診療アルゴリズムがテーマとなりました。肝炎ウイルス制御の進歩などをふまえた今後の肝癌診療について携帯アナライザーで会場の先生方もご一緒に議論いただく予定ですので奮ってご参加お願い申し上げます。もちろん学会では主題演題とともに一般演題も非常に重要です。特に若手の先生方には飛躍へのゲートウェイとして積極的にチャレンジしていただきたいと思います。
今回の学会がたくさんの素晴らしいご演題をご発表いただく場となり参加された皆様に実りある学会になりますように努めてまいりたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。
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